(1) 曖昧性の壁
曖昧な指示に、部下は大変苦労します。
自分の性格的に、細かい指示や命令が苦手だからといって、ついつい大雑把で感覚的な指示をしてしまいがちです。
では、このような指示を続けているとどうなるのでしょうか?
部下は曖昧な指示に戸惑いながらも、納期があるため、自分なりの解釈で仕事を進めることになります。
そして数日後、出来上がった資料を見た上司は、不満をぶつけてやり直しを命じます。命じられた部下は、最悪の場合、初めから作り直すために残業を余儀なくされることもあります。
もうお分かりですね。対処法は、曖昧な指示を排除することです。
5W1Hを使って、なるべく詳細に伝えましょう。
曖昧性の壁は、身体を流れる血液のように、コミュニケーション全体に影響します。
(2) 関係性の壁
あなたには信頼できる人がいますか?
その中に、職場の人は含まれていますか?
この質問に「はい」と答えられる人は、実は非常に少ないのです。
信頼関係は、人間の細胞を繋ぐ血管のようなものです。
信頼がなければ、細胞は壊死します。それは鬱や退職といった形で現れます。
高い成果を上げるには、メンバー同士の相互支援の力が欠かせません。
「信頼関係は仕事とは関係ない」と思っている人たちの集まりでは、パフォーマンスは確実に下がっていきます。
(3) 存在の壁
あなたの存在は、チームメンバーをポジティブにしていますか?
よくある会議の風景。開始前にはザワザワと楽しそうな会話が交わされています。
しかし、あるキーマンが会議室に入ってくると、途端に「シーン」と静まり返ります。
その人の顔色や態度を見て、「今日は機嫌が良いかどうか?」を、皆が確認しているのです。
その後の会議は、その人を中心に進みます。
会議とは名ばかりで、既定路線に沿って話が進み、「意見は?」と形式的に聞かれても、誰も発言しません。
どうせ聞いてもらえないし、場合によっては否定されるだけ。無駄だと分かっているのです。
もう一度、問いかけます。
そのキーマンは、チームにとってポジティブな存在でしょうか?
私なら、そのキーマンには会議から外れてもらいます。理由はいくらでもあります。
すると、会議での質問や意見の質が劇的に良くなります。
そして、その変化を見て、キーマン自身も「自分が変わる必要がある」と気づくのです。
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このような状況は、実際によくあります。
そうならないようにするためには、二つの解決策が重要です。
解決策① 笑顔をつくること
自分の機嫌に責任を持ちましょう。
いつもニコニコしていてください。
「ニコニコなんてできません」と思うかもしれませんが、鏡の前で練習してください。
あなたの仏頂面がチーム全体に影響を与え、パフォーマンスを下げているのです。
たとえあなたが優秀でも、一人でチーム全体のパフォーマンス低下を補うことはできません。
だからこそ、笑顔は最優先事項なのです。
解決策② 感謝の言葉をかけること
「ありがとう」と言いましょう。
コミュニケーションは“質”と“量”の掛け算で決まります。
1日100回でも「ありがとう」と言ってください。
たとえ自分と比べて6割の完成度であっても、「ありがとう」と伝えること。
「使えない社員だな」と思っても、「ありがとう」と言うこと。
「いてくれてありがとう」は、相手の存在そのものに感謝する「存在承認」の言葉です。
毎朝、来てくれることにも感謝しましょう。