コミュニュケーションを阻む3つの壁

 

 (1) 曖昧性の壁

 

曖昧な指示に、部下は大変苦労します。

自分の性格的に、細かい指示や命令が苦手だからといって、ついつい大雑把で感覚的な指示をしてしまいがちです。

 

では、このような指示を続けているとどうなるのでしょうか?

部下は曖昧な指示に戸惑いながらも、納期があるため、自分なりの解釈で仕事を進めることになります。

そして数日後、出来上がった資料を見た上司は、不満をぶつけてやり直しを命じます。命じられた部下は、最悪の場合、初めから作り直すために残業を余儀なくされることもあります。

 

もうお分かりですね。対処法は、曖昧な指示を排除することです。

5W1Hを使って、なるべく詳細に伝えましょう。

曖昧性の壁は、身体を流れる血液のように、コミュニケーション全体に影響します。

 

(2) 関係性の壁

 

あなたには信頼できる人がいますか?

その中に、職場の人は含まれていますか?

この質問に「はい」と答えられる人は、実は非常に少ないのです。

 

信頼関係は、人間の細胞を繋ぐ血管のようなものです。

信頼がなければ、細胞は壊死します。それは鬱や退職といった形で現れます。

高い成果を上げるには、メンバー同士の相互支援の力が欠かせません。

 

「信頼関係は仕事とは関係ない」と思っている人たちの集まりでは、パフォーマンスは確実に下がっていきます。

 

(3) 存在の壁

 

あなたの存在は、チームメンバーをポジティブにしていますか?

 

よくある会議の風景。開始前にはザワザワと楽しそうな会話が交わされています。

しかし、あるキーマンが会議室に入ってくると、途端に「シーン」と静まり返ります。

その人の顔色や態度を見て、「今日は機嫌が良いかどうか?」を、皆が確認しているのです。

 

その後の会議は、その人を中心に進みます。

会議とは名ばかりで、既定路線に沿って話が進み、「意見は?」と形式的に聞かれても、誰も発言しません。

どうせ聞いてもらえないし、場合によっては否定されるだけ。無駄だと分かっているのです。

 

もう一度、問いかけます。

そのキーマンは、チームにとってポジティブな存在でしょうか?

 

私なら、そのキーマンには会議から外れてもらいます。理由はいくらでもあります。

すると、会議での質問や意見の質が劇的に良くなります。

そして、その変化を見て、キーマン自身も「自分が変わる必要がある」と気づくのです。

 

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このような状況は、実際によくあります。

そうならないようにするためには、二つの解決策が重要です。

 

 解決策① 笑顔をつくること

 

自分の機嫌に責任を持ちましょう。

いつもニコニコしていてください。

 

「ニコニコなんてできません」と思うかもしれませんが、鏡の前で練習してください。

あなたの仏頂面がチーム全体に影響を与え、パフォーマンスを下げているのです。

たとえあなたが優秀でも、一人でチーム全体のパフォーマンス低下を補うことはできません。

だからこそ、笑顔は最優先事項なのです。

 

解決策② 感謝の言葉をかけること

 

「ありがとう」と言いましょう。

コミュニケーションは“質”と“量”の掛け算で決まります。

1日100回でも「ありがとう」と言ってください。

 

たとえ自分と比べて6割の完成度であっても、「ありがとう」と伝えること。

「使えない社員だな」と思っても、「ありがとう」と言うこと。

「いてくれてありがとう」は、相手の存在そのものに感謝する「存在承認」の言葉です。

毎朝、来てくれることにも感謝しましょう。